Overlay preparation seminer
こんにちは、院長の近山です。
先日、当法人の理事長が運営している歯科医師の勉強会である『橋本会』で
プライベートセミナーを行ないました。
法人内の歯科医師だけでなく、北は山形、南は大阪と各地から集まり、
ナチュラルデンタルオフィス橋本のセミナールームで開催しました。
今回お招きしたのは二宮佑介先生と榊航利先生です。
お二人は、Bio-Emulation という国際的な歯科グループに所属しています。
Bio-emulationとは「生体模倣」という考え方に基づき、
天然の歯に本来備わっている機能性や審美性を
最小限の侵襲で回復することをコンセプトとしています。
このように書くと少しわかりづらいような気がしますが、
詰め物や被せ物の治療をする際に
『元々の歯の構造をできる限り再現することを目指す』
ということです。
むし歯で歯に穴が開いてしまった場合や
硬いものを噛んだりぶつけたりして歯が欠けた場合には、
詰め物や被せ物で歯を修復していくことになりますが、
治療によって歯が元の状態に戻るというわけではありません。
もしかしたら皆さんも経験されたことがあるかもしれませんが、
前に治療してもらった歯なのに、また痛くなったり欠けたりして再治療になった
なんてことはありませんか?
私たちが日々診療を行う中で、やり直しの治療はとても多く、
一度治療した歯がどうしても再び悪くなってしまうのもまた事実です。
そしてやっかいなのが、歯を削る治療というものは
そう何度も何度も繰り返せるものではなく、
度重なる治療に歯そのものが耐えられず、抜歯に至るケースも多々あるのです。
「Repeated Restoration Cycle」
というイギリスのDr.Eldertonが1990年に警鐘を鳴らした考え方があります。
歯を切削して修復しても、再治療のたびに歯質が失われ、最終的には抜歯に至るという考え方です。
引用)ザ・クインテッセンス 2022年12月号
上記のようなことからも
天然の歯に勝るものはなく、いかに治療に陥らないか、
すなわち予防歯科の重要性が注目されていますが、
現実的にはどうしても治療をしなければならない場合は多いです。
それならば、すぐにまた悪くなってしまう治療ではなく、
長期的にしっかり長持ちする治療を選択することで、
お口の健康をしっかり考えていくことはとても重要だと考えています。
そこで、今回学んだのは「オーバーレイ」という治療法です。
従来の治療法では、むし歯がある程度の大きさになってしまうと
歯の全体を削って被せ物にするというものでした。
もちろん歯の形態を模しているので噛むことはできるのですが、
健康な歯の部分を大きく削ってしまうので、
その分、歯の寿命を縮めてしまうことになります。
対して、オーバーレイの場合は、歯全体を削るのではなく
噛み合わせに関わる部分を最低限の厚みで削るだけなので、
健康な歯の部分をなるべく残すことができ、
結果的に歯の長期生存に大きく貢献できるのです。
歯の切削を減らせるということだけではなく、
Bio-emulationという観点でも素晴らしさがあります。
歯はエナメル質と象牙質の2層構造になっていますが、
オーバーレイで修復する際には
内層の象牙質にあたる部分にコンポジットレジン、
外装のエナメル質にあたる部分にセラミックを用いることで
歯の本来の構造を再現するように治していきます。
これにより、機能性や審美性を兼ね備えた状態で
歯の健康を長期維持できることになります。
今回の実習では、
先生にマイクロスコープを使用していただき、
オーバーレイの切削の仕方のデモをした後に、
模型で練習して同じように形成しています。
ご自身の歯をもっともっと大事にしたいと思っている方、
繰り返しの治療に不安を感じている方、
一度当院にご相談にお越しいただけたら幸いです。
患者さんにとって最適な治療を提案するために常に研鑽しております。
スタッフ一同、皆さんのご来院をお待ちしております。
今年度もどうぞよろしくお願い致します。