親知らずの治療について
親知らずと聞くと、「いつか抜かなければいけない」と思っている方が多いのではないでしょうか。
親知らずは、既に生えているものでも、また歯茎の中に埋まってしまっているものも何が何でも全て抜かなければいけないということはありません。
親知らずは前歯から数えて8番目の歯になります。7番目の歯までが通常生えてくる歯と位置づけられておりますが、その7番目の歯に沿って歯並び良く生えてきて、上下の親知らずがしっかり噛むようなケースもあります。その場合は、その親知らずを抜く必要はありません。そうなると、他の歯と同じようにむし歯になれば歯科治療が必要になります。
ただ、一番奥の歯になるので、治療器具が奥の方まで入らず、正確な治療ができないこともあります。
そのため、むし歯や歯周病になってしまうと歯科治療が難しくなることを考慮して、むし歯や歯周病にならないように、歯科医院での定期的なチェックや清掃が必要不可欠になります。
抜く必要がない親知らずについては、治療が必要であれば治療を行い残していっても良いと当院では考えています。ただし、他の歯と同様にしっかり残していくためには歯科医師・歯科衛生士によるチェックを定期的にしていただくとより健康的なお口の状態を保つことが可能だと考えます。
抜いたほうがよい親知らずとは
では、その中で抜いた方がよい親知らずとはどんな親知らずかというと、百害あって一利なしの状態になってしまった親知らずです。
その親知らずがあることで他の歯に迷惑を掛けてしまうようになってしまってはいけません。
一例になりますが、以下のような状態のものは抜いてしまっても良いと考えます。
いろいろな状況がありますが、これを自分自身で判断することは難しいです。
何か気になることがあれば歯科医院を受診して、歯科医師がお口の中を確認・診断することが大切と考えています。
- 通常とは異なる方向に生えてしまったことで清掃が難しい
- 大きなむし歯になってしまい治療が困難
- 少しだけ歯茎から顔を出していて清掃不良で、そこに汚れが溜まってしまい炎症している
- 横から生えてきてしまったことで、手前の歯がむし歯になってしまった
- 頬や歯茎を親知らずがあることで噛んでしまい痛い
- 生え方が真っ直ぐではないため、手前の歯の清掃が難しいためむし歯や歯周病になるリスクが高い
親知らずが役立つことも
一番奥にあるため、清掃が難しい親知らずですが、残しておくと役立つこともあります。
入れ歯のバネがかかる歯として、入れ歯を支える歯として使えることや、歯がなくなった箇所に橋を架けるようなブリッジの治療では、親知らずが支える歯として役立つことがあります。
また、ほかの歯を失ってしまったときに、親知らず自体を抜歯して、その失くなってしまった場所に移植をすることで機能させることができる場合もあります。
この診断も非常に専門性が必要のため歯科医師の診断が必要です。
当院の親知らず抜歯
当院では、親知らずの抜歯が必要と考えた場合、保険診療の範囲でCTを撮影させていただきます。
CTを撮影することで、3次元的な親知らずの位置を確認することが可能になります。
それにより、当院で抜歯が可能かどうかの診断を致します。
抜歯が可能であれば、CT画像を見せながら歯科医師が説明を行い、患者さんの同意があれば抜歯を致します。
下の親知らずは、下顎管(大事な神経や血管が入っている管)との位置関係が抜歯をするにあたり大事になります。
CTにおいて下顎管に近い親知らずや、骨の中に埋まっており骨を大きく削らなければならないような症例は、当院では近隣の総合病院の口腔外科を紹介しています。
このように親知らずはレントゲン撮影をしなければ正確な診断が難しいです。もし気になる方がおりましたら一度当院を受診していただけたら幸いです。